婚約破棄の慰謝料に関する裁判例

※慰謝料算定で考慮される要素

・婚約に至る経緯
・婚約破棄に至る経緯
・性的関係の有無
・原告、被告の年齢、社会的地位、収入
・予定されていた婚姻の直前か否か
・相手方家族に不法行為があるか。
など

東京地判H17/9/13

事案の概要 原告が被告との結婚を約束していたところ,原告の妊娠が発覚した後,被告が一方的に入籍を拒否するなどしたため精神的損害を被ったとして,婚約不履行による慰謝料として200万円の支払いを請求した事例
算定の理由 ・原告の妊娠が発覚した後,原告に対して堕胎を求めた。
・原告がこれを拒否するや,原告の子を認知すらしようとせず,原告に対する一切の協力も拒絶している状態であった。
慰謝料額 200万

東京地判H17/3/17

事案の概要 原告が,原告と婚約した被告に対し,被告が本件婚約を不当に破棄する債務不履行に基づく損害賠償として,慰謝料1000万円を請求した事例
算定の理由 原告の慰謝料については,本件婚約の成立前とはいえ,平成15年2月までの間,原告が被告と頻繁に旅行するような交際する一方,他の女性とも男女としての交際をしていたこと,本件婚約の継続期間が約3か月程度とそれほど長い期間ではないことに照らし,100万円が相当であると認められる。
慰謝料額 100万

東京地判H17/3/17

事案の概要 慰謝料として1000万を請求した事例
算定の理由 原告は、平成10年9月以降交際を続け、平成12年7月には、婚姻後の新居とするため、本件不動産を購入してこれをリフォームし、新居用の家具類も購入するなどして、被告との婚姻生活に備えていたにもかかわらず、被告から一部暴力も伴うかたちで本件婚約を破棄されており、原告本人尋問の結果にも照らし、本件婚約破棄及び本件不法行為により原告が精神的苦痛を受けたことは容易に推認できる
慰謝料額 300万

東京地判H6/1/28

事案の概要 X女とY男とは、東京都内の私立高校3年生の時(平成元年)から男女関係があり、同4年4月からは御殿場市内のマンションで同居し、Xは主婦と同様の状況にあった。Yは同5年4月下旬にA女と横浜でデートしたことがXに判明し、XとYは不仲になり、Xは母親に連れられ、帰京した。 Xは、Yと婚約していたところ、Yにこれを破棄されたものであると主張し、Yに対し、慰謝料300万円の損害賠償を求める訴えを提起した。
算定の理由 ・原告に特に落度というべき点はなく主婦としての勤めを果たしていたこと
・一方、被告の言動は責められるべきであるが、第三者が見て二人の同棲を解消しなければならない程に 被告とA女との関係が深くなっていたとは認められない。
・原告及び原告の母に問題の解決を急ぎすぎた点もあること
・二人の年齢等から元々婚約が現に結婚まて至るについては不安定な要素もはらんでいたこと
慰謝料額 100万

東京地判H5/3/31

事案の概要 Xは、Y2と平成2年11月には結納も交わして婚約し、平成3年5月5日に結婚式を行うことに決めたが、結婚式の打ち合わせの際、Xの母が引出物の選定等に関して意見が通らないとして不快な言動を示したことなどから、Y2は、Xとの結婚生活に入ることに対して自信を失い、その後婚約を解消した。
しかし、その後も、Xは、Y2に対して婚約解消の翻意を求め、Y2としても翻意してXと結婚する気にもなったが、両親らの反対もあって、結局XとY2との婚姻が実現しなかったので、Xは、Y2は、正当な理由がなくしてXとの婚約を解消しと主張し、Y1とY2に対し、不法行為を理由に、損害賠償を請求した。
算定の理由 両親の理不尽な反対意見に迎合し正当な理由なくXとの婚約を解消したことを認めるに足りる証拠はない
慰謝料額 棄却

大阪地判S58/3/28

事案の概要 本件事案の概要は、Y1は、Xが被差別部落出身であることを承知でXと婚約し、その両親Y2Y3に無断で結納の儀式も済ませたが、Y2Y3から、Xの右出身を理由として猛烈な反対に遭い、当初は親と縁を切つてでも結婚すると言つていながら、次第にY2Y3の反対を受け入れて、Xとの婚姻に消極的となり、終に婚約の解消を申入れたというもので、Xは、Y1に対し、婚姻予約不履行又は不法行為を理由として、また、Y2Y3に対し、不法行為を理由として慰藉料1000万の支払を求めた。
算定の理由 ・婚約の相手方が被差別部落出身であることを理由に婚約を一方的に破棄することはあつてはならないことであり、単に婚約解消の正当な理由とならないというにとどまらず、著しく公序に反する行為と評すべく、婚姻予約上の地位の侵害として不法行為を構成するというべき。
・原告は、いわれなき世の因習のしがらみの中にあつて、被告太郎という佳き理解者と婚約し、天にも昇る気持であつたと思われるだけに、被差別部落の出身ということを逆手に取られて、被告一郎等から同太郎との婚姻に激しく反対され、その結果、被告太郎にも裏切られたもので、被つた精神的苦痛も痛烈なものがあつたと察せられる。しかも、原告は、その本人尋問の結果によると、本件がもとで折角就職した会社をも退職せざるを得なかつたことが認められるのであつて、その精神的苦痛は倍加されたと思われること、更に、婚約破棄の違法性が極めて強いこと、その他、諸般の事情に鑑みれば、右精神的苦痛を慰藉すべき金額としては、五〇〇万円をもつて相当とする。
慰謝料額 500万

大阪地判S58/3/8

事案の概要 日本国籍の男性であるYは、韓国籍の女性であるXと婚約しながら、韓国人に対する民族的差別故に、結婚式の直前になつて婚約を破棄したので、Xは、右Yの行為が不法行為に該るとして、慰藉料500万円及び財産上の損害約90万円等の支払を求めた事案である
算定の理由 ・被告が結婚自体を迷い躊躇するようになったのは、朝鮮人に対する日本人の歴史的民族的感情が、意識無意識のうちに時としてなんらかの社会的制裁の形で顕在化するということについての虞れのしからしむるところということができる。
・被告太郎が、原告側の言動に触発された面があるとはいうものの、基本的には、原告との結婚についての前記の迷いと躊躇の気持を次第に増幅させ、最終的にこれを婚約破棄という形に顕わしたものということができるのであつて、その経過に照らし、右の婚約破棄は、原告に対する被告太郎の不法行為と認めるのが相当である。
・前認定の婚約に至る経過、挙式直前の婚約破棄であつたこと、原告の年齢、原・被告双方の家族の関り合い、被告太郎の年齢及び社会的地位その他諸般の事情を総合考慮。
慰謝料額 150万

徳島地判S57/6/21

事案の概要 X女は、昭和55年1月13日にY1と見合いし、数回交際の後、縁談がまとまり、同月20日結納をとりかわして婚約し、挙式を同年5月5日と決定した。
そして、X女は、その間、挙式、披露宴の準備を着々と進める一方、嫁入道具やその他衣類、身の廻り品を買いととのえ、同年3月31日には勤務先を退職し、また同年4月以降は挙式も迫つたので、貸衣裳の選定、ハワイに決つた新婚旅行の準備、披露宴の列席者の決定、記念品の選定、招待状の発送などと、絶えずY1あるいはその母Y2と行動を共にし、前途に何の心配もない状況であつた。
ところが、同年4月28日朝、Yらは仲人を通じ、何の理由も告げずに電話1本で、Xに対し婚約を破棄する旨通告してきたが、その破棄の理由は、Xには、常識に欠け、家庭の躾けができておらず、性格的にルーズであつて、責任感に乏しいという欠点があるうえ、体形が余りにも細く劣弱であるので、Y1はXに対する愛情を失い、婚姻する意思を喪失した、というのである。 そこで、Xは、Y1は婚約を不当に破棄したものであることはもとより、その母Y2も婚約を破棄するような強硬な意見を述べてY1に婚約破棄を決意させたのであるから、共同不法行為責任を負うべきであるとし、Yらに対し、嫁入道具購入等の費用、勤務先退職による逸失利益、慰藉料等合計895万円余の損害賠償を請求したものである。慰謝料の請求額は400万。
算定の理由 被告らは、原告と被告太郎との婚約を、その結婚式の直前、披露宴の招待状の発送も行なわれ、新婚旅行の準備もととのい、ともに婚礼写真の前写しも行ない、もとより原告において嫁入道具の購入も完了し、いわんや嫁入道具として持参すべき物品について被告ら自らあれこれと要求を呈してこれをのませていたのに、右の嫁入道具が運び込まれるまさにその前日において、かねて原告の容姿等について抱いていた不満感に抗しきれず、他人を介し、電話一本で断定的に破棄したものである。その又前夜には原告に対し、被告太郎が真意はいざ知らず、これからは二人で力を合わせてやつて行こうなどと言つて、婚姻に対する期待感を抱かせていた。その他前認定の各事実を考慮すると、両者の間に性的交渉がなかつたこと、婚約成立までの日数が短かかつたこと等に配慮しても、本件婚約破棄による原告の精神的損害を慰藉するためには四〇〇万円が相当であるから、被告らには右金員の支払義務がある。
慰謝料額 400万

大阪地判S52/6/24

事案の概要 離婚届の提出前の既婚男性との婚姻予約が有効とされ、その債務不履行に基づく損害賠償が認められた事例
(慰謝料請求額350万)
算定の理由 被告はアパートで生活しているうち、子供達が母親と一緒になることを希望したので、妻花子とのよりを戻すことにし、原告に知らせることなく、妻を呼びよせてアパートに居住させた。その後、被告は原告との関係を打ち切る意思を正式に表明し、原告との婚姻予約を解除した。原告は仕事を続ける意慾を失ない、同年三月永年勤めた銀行を退職した。
慰謝料額 80万

福岡地判小倉支判S48/2/26

事案の概要 新婦が新婚初夜実家に逃げ帰つて婚約を破棄した場合において婚約破棄の正当事由の存在を肯定した事例
(慰謝料請求額500万)
算定の理由 右認定の事実に基いて婚約破棄の正当事由の有無を検討するに、婚約はその性質上内縁関係と比較してより広い範囲で破棄の正当事由を許す余地があるものと解すベきところ、被告Vの婚約破棄は同被告の認識不足や原被告双方の親族の不信感がその遠因として存在することは間違いないのであるが、前示のとおり、結婚式当日ないし新婚初夜において、新郎として弁えるべき社会常識を相当程度に逸脱した原告の異様な言動を直接最大の原因とするものであり、その結果新郎に対する新婦のそれまでの印象を一変し、且つ今後結婚生活を共にする決意を全く失わせるに至つたものであるから、このような場合被告Vには婚約を破棄すべき正当な事由があり、違法性は存しないと認めるのが相当である
慰謝料額 棄却

福岡地判小倉支判S45/12/4

事案の概要 見合い後、2ヶ月半交際し、この間結納、結婚式の各日取りも決めたが、被告は原告の性格が物足りないなどのさしたる理由もないのに、結婚の意思を失い、被告の健康を偽って、これを理由として結婚しない旨を通知し、婚約を破棄。これに対し、原告が慰謝料を求めた事例(請求額不明)。
算定の理由 ・原告は、右婚約により、被告季夫と結婚する決意を固め、親族、会社の同僚からお祝を貰うなどしていたのに、右婚約破棄にあい、悲嘆にくれ、数日間寝込んだり、鼻血を出したり、一〇数日間不眠に悩まされるなどし、遂に勤務先の会社を退職したこと、被告は、昭和一五年六月一四日生で、新日本製鉄株式会社に勤め、現在月収約金六万三、〇○○円であることを認めることができる。
・前記認定の原告の職業、収入、右婚約破棄の経緯その他諸般の事情を考慮。
慰謝料額 35万

京都地判S45/1/28

事案の概要 創価学会の信仰をやめないことを理由とする婚姻予約破棄に因る損害賠償請求を認容した事例(慰謝料請求額100万)
算定の理由 原告が信仰をやめないことを理由に、当時、原告が妊娠していたにかかわらずこれを追出すに至つたものであること、その同棲期間も相当長期であること、被告は歯科医師であるので、原告は被告と結婚出来れば、或程度経済的にも安定した幸福な生活をなし得たであろうと推定されるにかかわらず、その期待は裏切られ、しかも実家は貧困であるので子供一人をかかえて将来自分一人で生活の資を稼がなければならない境遇におかれたこと、更に原告はすでに年令的にも所謂婚期を逸し、しかも子供をかかえて、将来新たな結婚の機会も非常に乏しいと推測されること、以上の事情に照らしてみると被告の本件婚姻予約不履行により原告の蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料としては原告の請求額金一○○万円は決して高額に過ぎるとは認め難い。
慰謝料額 100万

大阪地判S42/7/31

事案の概要 相手方が改宗しないことを理由に婚約を破棄した者に対し、右破棄が正当事由を欠くとして損害賠償義務を認めた事例
(慰謝料請求額30万円)
算定の理由 破棄に正当な理由がなく、特に被告が相手の宗教の挙式につき適切な確認をしなかったこと、他に原告が婚姻準備のために退職したこと(その後復職)、被告の給与月額が4万円であること、原告が婚約破棄による衝撃から一時家出をしたことなどを総合考慮。
慰謝料額 30万

大阪地判S40/7/9

事案の概要 被告の過失による交通事故により顔に傷を負った原告が、婚約を破棄した被告に対し慰謝料100万円を請求した事例。
算定の理由 ・原告は右婚約関係から被告正数との結婚生活に夢と期待を寄せ、本件事故後は特に女の致命傷ともいうべき顔の傷痕のこともあり、同被告との将来に全幅の信頼をかけて、体の関係を続けて正数の胤を宿すに致つたが同人の指示により姙娠三月で人工中絶のやむなきにいたつた。
・昭和三八年三月ごろ急に被告正数の態度が冷淡になり原告の心をふみにじつてその婚約を破棄した事実が認められる。
・原告は悲観のあまり同年三月八日頃睡眠薬による自殺を図るまでにいたつた事実などと前示各諸事実を考慮。
慰謝料額 100万

大阪地判S39/1/30

事案の概要 婚姻予約解消につき双方に有責性がありながら、なおかつ一方に慰藉料支払義務を認めた1事例(慰謝料請求額不明)
算定の理由 ・本件婚姻予約の解消には、原被告とも互にその責任を分担しなければならないものであるが、右婚姻予約解消の根本的原因、即ち決定的な原因はやはり原告が内縁関係成立の当初に被つた精神的な衝撃を被告において除去する方途をとらず、却つて祖母、叔母に雷同し相共に原告を罵倒冷笑したことに基因するものであつて、これに対応してなされた原告の不貞腐的言動ないし無断家出の事実或は原告のヒステリー的性格ないし被告との性格の相違は本件婚姻予約破綻の1誘因たるにすぎないものと解するのを相当とする。
・原、被告の各年令、結婚前歴、財産、学歴、職歴、前記認定の内縁関係破綻に至る経緯その他本件弁論にあらわれた諸般の事情を斟酌するときは(殊に、被告は原告に対し先に結納金一〇万円を贈り、現在これが返還を求める意思を有しないこと等)、被告の原告に支払うべき慰藉料は金七万円を以て相当と認めるべきである。
慰謝料額 7万

大阪高判S38/3/26

事案の概要 原告(被控訴人)が被告(控訴人)による婚姻予約の不履行に対して慰謝料を請求した事例
(慰謝料請求額不明)
算定の理由 ・控訴人はその両親特に母親が持ち続けてきた被控訴人排斥の意図に同調するが如き態度に一変し呼吸を合わせて冷酷な態度を執るに至つた。すなわち、控訴人方においては、新婚早早直ちに新妻の被控訴人が簿記や算盤の仕事を引き受け、その技量を発揮しなければならない格別の必要と事情が認められないのにかかわらず、また被控訴人の学歴と年令からみて右の知識と技量を備えていないのは当然であり、これを期待することは無理であるにかかわらず、ことさらにこれを欠いていることを過大に取り上げ、簿記等の修学が婚姻の最重要な条件であるかのごとくに告げて、控訴人と別居してまでその早期習熟を強く要求し、控訴人もその親の意向に和し、被控訴人にそれを勧め、その修学を口実にして被控訴人に別居生活を強いた。被控訴人はすなおにこれを聞き入れ、奇妙にもわざわざ大阪から豊中に別居して大阪の夜間の簿記学校に通つたのである。
・その前後から控訴人は被控訴人に対し暗に離別する意思であることを仄めかす言辞を弄し、呉の病院に入院してもその事実を妻たる被控訴人に知らせないのみか、入院中控訴人の病状を案じて幾度も見舞の手紙を出し、また幾度か訪ねて来た被控訴人にまともな返事を出したことは一度もなく、謎のような手紙で冷たくあしらい、果ては退院して二週間経過してもその事実を被控訴人に知らせない無情な仕打ちをもつてこれに報いた。
・以上の控訴人およびその両親の一連の行為と容態は、夫の権威をもつて妻たる被控訴人を膝下に屈服させ、あるいは親の権力をもつて子の妻たる被控訴人をれい属支配せんとする封建的思想の発現たるのみならず正に、一個の人格的存在、知性と教養を備えた初婚の若い女性に対する異常なまでの残酷無情な精神的な虐待、侮辱というべきである。
慰謝料額 150万

東京地判S36/9/29

事案の概要 被告の肉親の説得に屈し、婚約破棄を行った被告に対して慰謝料請求をした事例
(慰謝料請求額不明)
算定の理由 ・原告は本件が初婚であり現在中央鋼材株式会社に勤務して月収一万六千円位をえていること
・被告節男(婚姻予約の相手方)は、被告恵角の経営する前記会社で働き月収一万一千円をえているが、貯金一万円位の外は財産がないこと
・右事実及び前記認定の原告と被告節男の事実上の婚姻の成立から破綻するに至つた迄の事情並びに本件証拠に現われた一切の事情を考慮
慰謝料額 20万

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