2022.05.13

振り込め詐欺等救済法による預金口座凍結と被害回復手続

弁護士 菅原 胞治
 
振り込め詐欺等救済法(*)とは、振り込め詐欺など財産を得る手段として銀行の預金口座等への振込を利用する犯罪行為(振込利用犯罪行為)の被害者を救済するために作られた法律で、平成20(2008)年6月から施行されています。
(*)正式には「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」
 
「振込利用犯罪行為」とは、いわゆる振り込め詐欺に限らず、ヤミ金融、還付金詐欺、架空請求詐欺等、人の財産を得る手段として銀行等の預金口座への振込を利用するものを含みます。この救済法は、その預金口座やそこから移された預金口座に残高が残っていれば、その払戻しをストップし、残存している預金の範囲内で被害者に返還し救済を図る手続を定めています。
 
 この法律は、振込を取り扱っている銀行、信用金庫、労働金庫、農協等の金融機関に広く適用されます。しかし、預金が残っていない場合は、この法律では救済されません。また、被害者が多数いる場合は、残存預金の範囲内で被害者の被害額で按分することになりますので、完全には回復されないこともあります。
 
 したがって、銀行口座等を悪用した犯罪行為の被害にあった場合には、速やかに警察等の捜査機関、あるいは振込手続を行った銀行や振込先の銀行等に相談し、その払戻手続を直ちに止めてもらうように依頼する必要があります。その捜査機関等から情報提供を受けた金融機関は、提供情報から振込利用犯罪の疑いがあると判断した場合は、その口座の取引をストップするほか、関係金融機関に対しても必要な情報提供を行います。なお、このような金融機関の措置は、警察だけでなく、弁護士会、金融庁、消費生活センター、弁護士、認定司法書士から情報提供があった場合にも行われることがあるので、弁護士等に相談するのもよいでしょう。
 
 一方、その金融機関は、振込利用犯罪口座の取引停止のほか、預金保険機構に対して、債権消滅手続開始公告をすることを求め、預金保険機構は対象預金口座の金融機関・店舗・口座番号・名義等を明示して債権消滅手続が開始されたこと等を公告します。つまり、預金保険機構はいわゆる振り込め詐欺等の犯罪被害口座の情報センターの役割を担っているのです。
 
 そして、この公告に対し、一定期間内(60日以上)にその名義人やその債権者等から権利行使の届け出等がなかった場合には、その預金債権は消滅するものとされ、被害者(相続人等の一般承継人を含みます)にその消滅した預金を原資として被害回復分配金を支払う手続を行います。具体的には、被害者は分配金支払申請期間(30日以上)内に犯罪利用預金口座のあった金融機関に申請をすれば、申請を行った被害者等に分配金の支払いが行われます。
 
 ただし、被害者等がこの被害回復分配金支払の公告がなされてから6か月以内に申請手続を行わないと、被害者等の分配金を受ける権利は消滅するとされていますので、注意が必要です。
 
(ご参考)振り込め詐欺救済法に基づく公告については預金保険機構のHPに検索ページがあります。その他、金融庁HP 警察庁HP 全銀協HPご参照。
 
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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