2024.09.25
NHK連続テレビ小説「虎に翼」 法律事務指導に参加して
2024年4月から放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。
当事務所では、本作品の第16週より、法律実務指導を担当しています。
今週末で最終回を迎える同ドラマの法律実務指導に参加した当事務所所属の弁護士 坂野は、裁判官時代、裁判所の支部長の経験もあり、ドラマの舞台となった新潟地家裁三条支部には、弁護士となった後に事件で赴いたこともあります。今回は、裁判官時代を振り返る坂野の一言コラムをご紹介します。
虎ノ門にも翼を
虎ノ門法律経済事務所 弁護士(元裁判官)坂野 征四郎
新潟地裁 三条支部(引用元:Wikipedia)
NHKの朝ドラ『虎に翼』が、今期放送のドラマとしては視聴率トップを記録して今週末、幕を閉じます。司法界という、一般社会からは内部が見えにくい、硬いイメージの世界を舞台にしたドラマが、なぜこのような、ある意味予想外の関心を呼んだのかは、むしろ視聴者の皆さんにお聞きしたほうがよいかもしれません。そしてこのような番組の制作に、当事務所所員と共に、法律実務指導という立場で参加支援させていただいたことを嬉しく思います。
令和6年7月15日の放送のタイトルバックに法律実務指導として私の名前が表示されました。それを、偶々高校時代の同窓生が観ていたようで、驚きのメールを頂戴しました。
この法律実務指導には、私が、裁判官として民事・刑事事件や家事・少年事件など第一審のほとんどすべての種類の事件を経験していたことが役に立ちました。上記7月15日の放送は、主人公の寅子さんが新潟地方・家庭裁判所の三条支部長として赴任したときの場面でしたが、私も盛岡地方・家庭裁判所の一関支部長として赴任したことがあり、その当時の光景が浮かんできました。同支部でも思い出深い案件や出来事がありましたが、異動で同支部を去るときに、長年運転手をされていた職員の方から「いい支部長だった」と言われたことは最高の勲章です。
また、新しい制度の創設や法改正などがあったときは、裁判所(官)はその運用に苦労をするものですが、ドラマの中の寅子さんも戦後創設された家庭裁判所の運用や少年法改正及びその運用にたいへん苦労をされていました。
私も、かつての民訴法改正後、在任庁で運用マニュアル(申合せ)作りを担当し、民事保全法施行後に東京地裁保全部で実務に取り組みました。そして、新しい成年後見制度施行後暫くして東京家庭裁判所に立ち上げられた後見センターでは、そのチーフとして、初めて遭遇する様々な課題や問題点に挑戦し(その1年後の振返りは別冊判例タイムズ1165号『東京家庭裁判所後見センターにおける成年後見制度の運用と課題』参照)、また、医師会や関係士業各団体にも研修講師などとして赴き、説明をさせていただきました。
さて、このドラマのタイトル「虎に翼」の意味は、「ただでさえ強い力をもつ者にさらに強い力が加わること」(小学館 大辞泉より)です。振り返ってみるに、わが虎ノ門法律経済事務所にとっての「翼」は何でしょうか? 1972年の創立から50年強。日々成長を続け、さらに高みを目指す我々に必要なものとは。“法の支配・法的サービスを全国津々浦々に”、“依頼者と構成員の幸せを”、そして“法経両輪経営”を目指して……。