2022.10.28
就業規則の作成義務や注意すべきポイントを解説
弁護士 野嵜 努
就業規則の作成義務
従業員を常時10人以上雇用している会社は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届出をすることが原則として義務づけられています(労働基準法第89条)。
就業規則を工夫して作成する意味
ポイントを踏まえたしっかりとした就業規則があることで、万が一従業員と労務トラブルが起こったときでも、会社を守ることができます。
就業規則作成のポイント
1. 「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」の区別
就業規則には「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」があります。
絶対的記載事項とは、就業規則を作成するうえで必ず記載しなければならない事項です。例えば、労働時間、休暇、賃金、退職に関する事項が挙げられます。
一方、相対的記載事項とは、記載は必要的ではないものの、定めを設ける以上は、必ず就業規則に記載しなければならない事項のことです。例えば、退職手当(適用される労働者の範囲、計算要素、計算方法等)、臨時の手当、業務上及び通勤途上の災害補償・業務外の傷病に関すること、制裁(制裁の種類、事由、手続)、休職・出向・出張旅費等に関する事項です。
大前提として、これらを踏まえて就業規則を作成する必要があります。
2. 業種ごとの特性を踏まえた区別
以下、2つの業種を例に、作成ポイントを挙げます。
(1) 運送業
・告示に基づく限度等の規定
運送業の場合、例えばトラック運転者等に対しては、厚生労働省の告示に基づき、独自の労働時間の基準を定める必要があります。基準の内容は、拘束時間、休憩時間、運転時間の限度等です。
・監督官庁の監査に対応する車両管理等の規定
所管省である国土交通省やトラック協会の監査に対応するため、運行管理や車両管理等についてもしっかりと定めなければなりません。
(2) 飲食業
・シフトの枠組み等の規定
正社員やパート等の雇用形態ごとに、就業時間やシフトの枠組み、適用される休暇、休職、福利厚生等について定めておく必要があります。
・衛生管理の規定
食品を扱うため、衛生管理について定める必要があります。髪型や化粧等について服務規定に記載することもあります。
以上、2つの業種における作成のポイントを抜粋しましたが、上記業種に限っても実際にはより多くの項目について具体的に定める必要がありますし、上記2つの業種以外の業種に関しても様々な作成のポイントがあります。
最後に
上記のように、就業規則の作成にあたっては、法律的な観点はもちろん、対象となる業種の特性や事業のビジネスモデル等の実態をよく理解することも必要です。その点、弊所は多数の事業主様と顧問契約を締結させていただいており様々な業種の就業規則の作成ノウハウがあります。また、弊所には社会保険労務士の資格を有する弁護士や、厚生労働省への在籍経験がある弁護士もおりますので、弊所にご依頼頂ければ貴社独自の適切な就業規則を作成することが可能です。就業規則の作成(変更も含む)は、是非弊所にご依頼ください。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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