2022.08.29

相続について相談すべきタイミングとは?

弁護士 板橋 晃平
 

1. 相続に関する相談は、相続発生前に!

弁護士に相続の相談をするのは、いつ頃がよいのか?
結論から申し上げますと、ご自身が65歳を過ぎた時やご両親が65歳を過ぎた時をご相談の目安として下さい。
弁護士としては、将来、被相続人となられる方や相続人となられる方に、相続発生前に気軽に相談していただきたいと思っております。
しかし、実際によくある相談のタイミングは、相続が発生し、遺産分割で争いになっている等のトラブルが発生した時点です。実際に相続で揉めており、相談に来られる場合は、まだよいのですが、弁護士に相談するタイミングがわからないという方がたくさんおられます。
相続について弁護士に相談すべきタイミングは大きく分けると、①相続発生前、②相続開始時、③相続発生後(遺産分割終了後)の3つですが、ご相談のベストタイミングは、相続発生前です!
今回は、なぜ、相続発生前に相続について弁護士に相談すべきかを、ご説明いたします。

2. 相続手続は複雑でストレスフル!

個人が死亡した場合に、相続が発生するのであるから、相続を検討するタイミングは、相続発生時だけじゃないの?と思われる方がおります。
確かに、相続が発生してから、遺産分割を検討することはよくあることです。遺言書がない場合に相続が発生した際に、相続人が行う手続は以下の通りです。

① 相続人の範囲の特定
② 遺産の範囲の特定
③ 遺産の評価
④ 特別受益の存否や持ち戻し免除の意思表示の有無の確認
⑤ 寄与分の存否
⑥ 遺産分割の方法の決定
⑦ 遺産分割協議書の作成
⑧ ⑦の協議書に基づく遺産の分割手続の実施

 
これらの手続は、複雑でわかりづらいのみならず、資料がないことやあったとしても散逸していることが多々あるので、進めるのに時間とコストがかかります。相続人が、仕事や私生活と並行してこれらの手続を行うことは大変手間です。なによりも、相続人間で、円満な遺産分割ができないことにより、相続開始まで、仲がよかった親族の関係性が悪くなり、遺産分割時のみならず、遺産分割後も「争続」が終わらない状態に陥ることも間々あり、そのような状態が相続人にとって非常にストレスとなります。

3. 相続手続の前倒しでストレスフリー!

相続による手間のかかる手続や親族関係が悪化することによって生じるストレスフルな状態を回避するためにも、相続開始前に相続手続の準備をしておくことが必要です。そのメリットを以下で3つご紹介いたします。

(1)メリット1:相続時の遺産調査のコストを削減できる

2で述べたように相続手続は、大変手間がかかります。
まず、これらの相続手続の負担を減らすためにも、被相続人となる方がご存命のうちに、相続手続に必要な作業を前もって進めておくべきです。この事前作業を実施することで、相続時の遺産調査の作業量や投下する労力を大きく削減することができます。
主な事前作業は、以下の通りです。

ア 将来相続人となりそうな親族を調べて家族関係図を作成(①の前倒し調査)。
イ 被相続人となる方の財産を調査して財産目録を作成(②の前倒し調査)。
ウ 総財産がどの程度の価値があるか、総財産の評価額の確認(③の前倒し調査)。
エ 特別受益に該当する被相続人となる方による贈与と持ち戻し免除の意思の確認(④の前倒し調査)
オ 寄与分に該当するような相続人による被相続人となる方の財産の維持・増加への貢献行為の確認(⑤の前倒し調査)。

(2)メリット2:将来のライフプランニングが可能となる

つぎに、上記⑴で述べたような事前作業を済ませておけば、家族関係のみならず、資産や負債の現状を把握することができます。そのため被相続人となる方がこれからの暮らしやイベントに掛かる費用を知ることができ、改めて、ライフプランニングを見直すことができます。

(3)メリット3:家族が望むような形の相続対策ができる

さらに、上記⑴の事前作業に基づき、相続が発生した際の相続税の額、遺産分割案や遺言・信託等の遺産の承継方法をシミュレーションすることができ、被相続人となる方のみならず、推定相続人の意向を反映した相続手続を選択することができ、未然に相続人間の紛争を予防ないし軽減する施策を打ち出すことができます。事前の相続対策に掛かる弁護士費用は、相続時に揉めた際に掛かる弁護士費用よりも低廉で済みます。
何よりも、将来被相続人や相続人となる親族らが終活に向き合うことができ、財産の整理のみならず、心の整理をすることができます。

4. 相続の準備は65歳を過ぎたあたりから検討しましょう

上記3の3つのメリットを享受するためには、被相続人となる方に意思能力や行為能力がなければいけません。意思能力や行為能力は、一概には言えませんが、65歳を過ぎたあたりから、徐々に低下していきます。また、仕事を退職され、今後の人生を見直す時期も65歳を過ぎたあたりです。だからこそ、相続の準備は65歳を過ぎたあたりから検討することをお勧めいたします。

5. おわりに

ストレスフリーで家族円満な相続をするためには、上記3の相続手続の前倒しが必要不可欠です。もっとも、相続手続の前倒しのために行う財産調査、被相続人となる方の将来のライフプランニングや税金を含めた相続対策には専門的な知識が必要となります。ご家族が相続手続の前倒しによる利益を享受するためにも、将来の相続を思い立った時点で弁護士にご相談下さい。
 
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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