家賃保証契約の動向 -裁判例を踏まえた解説-

 

概要

1. 家賃保証の現状と拡大
2. これまでの紛争
3. 追出条項の有効性
 -最新の裁判例(大阪高判令和3年3月5日)を踏まえて-
4. 保証会社がとるべき対策

 
従来賃貸借契約の締結にあたり、賃貸人は賃借人から賃料の回収などのため連帯保証人を求めることが多かった。
従前、親族が連帯保証人となることが多かったが、近年、個人の連帯保証人のなり手が大きく不足している。そこで、近年重要性を増してきたのが家賃保証会社である。
 
家賃保証会社は、家賃保証(委託)契約の中で、保証料の受領と引き換えに①賃借人の滞納家賃相当額、②原状回復費用、③建物明渡に要する弁護士費用、そして、④執行費用を負担する条項を入れることが多かった。
もっとも、家賃保証制度の急拡大の中で、保証会社と賃貸人又は賃借人間で紛争が生じ、上記①~④の業務が滞りなく実施できないことも多々生じている。
 
そして、本年、特定の要件を満たした場合、残置物の所有権を放棄する内容の保証契約の有効性が問題になった。
本件は現在も最高裁判所で審理され、その結果が注目されるが、この事案を検討しつつ、保証会社において業務を円滑に進めるために賃貸人、賃借人、又は仲介業者に対して業務上気をつけるべき注意点等について言及する。

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