認知症や将来のことに備えて
孫や将来の世代に財産を承継したい方へ

成年後見制度

(1) 成年後見とは

成年後見は、精神上の障がいが理由で判断能力が不十分な人が経済的な不利益を受けることがないように、支援してくれる人すなわち本人に代わって様々な手続きを行う成年後見人を就けることを言い、法定後見と任意後見とがあります。
法定後見は、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
 
成年後見人になるためには資格は必要ありませんが、裁判所は本人や家族の事情を考慮して成年後見人を選任するため、弁護士や司法書士等の専門職が成年後見人となる場合が全体の7割程度を占めます(平成29年最高裁判所公表資料)。
 
任意後見は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。
任意後見監督人は、必ず選任されなければならず、弁護士や司法書士等の専門職が就任することが多いです。

(2) 家族信託のメリット

1. 居住用の不動産について

まず、成年後見のうち法定後見では、本人の居住用の不動産については、家庭裁判所の許可を得ないと処分することができません。任意後見の場合には、裁判所の許可は不要ですが、処分には合理的な理由が求められ、任意後見監督人の許可を得ないと処分することができません。

 

これに対して、家族信託では、およそ財産であるものなら本人の意思で自由に信託することが可能であり、裁判所や任意後見監督人の許可にかかわらず、本人の希望に沿った柔軟な財産の管理・処分ができます。

2. 本人の判断能力が衰える前について

また、成年後見では、本人の判断能力が衰える前には財産の管理ができません。
家族信託では、本人の判断能力があるうちから、信頼できる家族等に財産管理を任せることが可能です。もちろん、判断能力が衰えた後も、受託者が財産管理を行うことができます。

(3)具体例

ケース1

85歳になったが、夫には先立たれ、これから認知症になるかもしれないと心配。老人ホームに入りたいが、自宅の土地・建物の名義が自分名義となっている。私の希望としては、子供が管理・売却できる資産を残しておきたい・・・
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「将来、子供に賃貸・売却できる資産を残したい」とするお母様の希望を実現するには、ご家族を受託者とする家族信託が適しています。
お母様の判断能力が低下した場合、成年後見制度の利用も可能です。しかし、成年後見制度はあくまで本人の財産管理がメインとなるものですから、リスクを取って資産運用を行うことや納税資金確保のために資産を売却することなどは難しくなります。
 
家族信託であれば、お母様が元気なうちにご家族を受託者として信託契約を結んでおくことで、お母様の判断能力が低下した場合でも、受託者であるご家族がお母様の生活費などを支出できますし、信託契約の内容次第では、相続税の納税資金のために不動産を処分することもできます。

ケース2

所有している持ち家に居住しているが、将来的に意思能力、身体能力が低下し、自立した生活が困難となった場合には、当該持ち家を売却処分した上で、老人ホームに入居したいと考えている。
持ち家の売却代金は、老後の生活費、介護費、医療費に充てたいが、意思能力が低下した状態で売却に際した各種手続を行えるか懸念している。
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持ち家の売却代金を自己の生活資金に充てたい場合には、自身を受益者とする家族信託が適しています。
こちらのケースで成年後見制度を利用する場合、成年後見人が不動産の売却といった被後見人の財産の処分行為を行う場合、処分行為の必要性、相当性という要件を満たす必要があり、場合によっては後見監督人の同意を得る必要があり、機動的かつ柔軟な意思決定を行えないおそれがあります。
 
家族信託であれば、ご本人を委託者、ご家族を受託者として、
1.ご本人所有の持ち家及び金銭をご本人のために管理すること
2.持ち家にご本人を居住させること
3.ご本人が老人ホームに入居する際には、持ち家を適切な価格で売却すること
4.持ち家の売却代金その他の金銭を管理し、ご本人の生活費、介護費、医療費等に充てること
などを目的として、持ち家及び金銭を信託財産とする信託を設定することで、ご家族がご本人の所有する金銭及び持ち家をご本人のために適切に管理、運用し、ご本人の生活をサポートすることが可能となります。

成年後見に関する法律相談

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