2020.05.13

新型コロナウイルス感染症に関連した資金繰り・給付金に関するQ&A

弁護士 岩元 雄哉
 

Q.1 資金繰りの悪化により、借入中の金融機関への返済が厳しい状態です。返済の条件についての相談は可能でしょうか?

A.1 各金融機関に対しては、金融庁からも元本・金利を含めた返済猶予などの条件変更について、迅速かつ柔軟に対応するよう要請がなされています。返済が厳しい場合には、まずは取引先金融機関にご相談ください。

Q.2 コロナ禍で事業の売り上げが激減しており、資金繰りが厳しい状況です。助けになる制度はありませんか?

A.2 今般のコロナ禍に際して、下記のような各種の貸付等が利用できる可能性があります。ご自身の状況に併せてご検討ください。なお、貸付に関する要件や各制度の詳細は各貸付等の実施主体のWebサイトにてご確認ください。
 
・日本政策金融公庫
 一般の事業者の方
 ・新型コロナウイルス感染症特別貸付
  融資限度額 国民生活事業 6,000万円 中小企業事業 3億円
  5%以上の売上減少の場合
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html
 ・新型コロナウイルス対策マル経融資
  融資限度額 通常2,000万円+別枠1,000万円
  5%以上の売上減少の場合
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html
 ・セーフティネット貸付
  融資限度額 国民生活事業 4,800万円 中小企業事業 7.2億円
  売上減少幅問わず
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
 
 生活衛生関係事業者の方
 ・生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
  融資限度額 6,000万円
  5%以上の売上減少の場合
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_seiei_m.html
 ・生活衛生改善貸付
  融資限度額 通常2,000万円+別枠1,000万円
  5%以上の売上減少の場合
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/34_eiseikaizen_m.html
 ・衛生環境激変対策特別貸付
  融資限度額 別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)
  10%以上の売上減少の場合
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/47_gekihen_2_m.html
 ・商工中金
  危機対応融資
  融資限度額 3億円
  5%以上の売上減少の場合
  https://www.shokochukin.co.jp/disaster/corona.html
 ・信用保証協会+民間金融機関
  セーフティネット4号
  限度額 別枠2.8億円で100%を保証(5号と同枠)
  20%以上の売上減少の場合
  本来地域指定があるところ現在全都道府県が対象(5月12日現在)
 
  セーフティネット5号
  限度額 別枠2.8億円で80%を保証(4号と同枠)
  5%以上の売上減少の場合
  本来業種制限があるところ現在原則全業種が対象(5月12日現在)
 
  危機関連保証
  限度額 別枠2.8億円で100%を保証(セーフティネット保証とは別枠)
  15%以上の売上減少がある中小企業・小規模事業者の場合
  https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/keiei-shisho.html

 ・小規模企業共済制度の緊急経営安定貸付
  融資限度額 2,000万円
  5%以上の売上減少の場合
  https://www.smrj.go.jp/news/2020/favgos000000ik2i.html

Q.3 貸付利用の要件となっている売上減少はいつといつを比較すればよいのですか?

A.3 日本政策金融公庫の各種貸付における売上減少の要件は主に以下のような比較が用いられています。他の制度では詳細が異なる場合がありますので、貸付利用の際は、利用される貸付に関するWebサイト等で改めてご確認ください。
 1. 最近1ヶ月の売上高を前年または前々年同期と比較する
 2. 業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合等は、最近1ヶ月の売上高が下記(1)から(3)のいずれかと比較する
 (1) 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む)の平均売上高
 (2) 令和元年12月の売上高
 (3) 令和元年10月から12月の平均売上高
 ※1年1ヶ月以上の業歴があっても、合併・業種転換等で前年(前々年)同期との比較になじまない場合には1ではなく2の基準が用いられる場合があります。

Q.4 貸付にあたっての利息等の支払いは通常どおりしなければなりませんか?

A.4 「A.2」に挙げた各種貸付のうち、
(1) 日本政策金融公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付、新型コロナウイルス対策マル経融資、生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付及び新型コロナウイルス対策衛経並びに商工中金等による危機対応融資は、追加の要件を満たすことで、借入後当初3年間について特別利子補給制度による実質無利子化の対象となっています。
(2) 信用保証協会及び民間金融機関によるセーフティネット保証及び危機関連保証については、借入後当初3年間、上限3,000万円までの借入について保証料・利子の減免の制度があります。
(3) 小規模企業共済制度の特例緊急経営安定貸付は無利子とされています。

Q.5 生活衛生関係事業とはどのような事業を指しますか?

A.5 理容店、美容店、映画館、クリーニング店、公衆浴場、ホテル旅館、食肉販売店、飲食業等の「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」で規定される業種を指します。

Q.6 返済の必要がある貸付ではなく給付金を受けられる制度はありませんか?

A.6 持続化給付金により、前年同期比50%以上の売上減少があるなどの要件を満たす事業者は、最大で個人事業者で100万円、法人で200万円の給付をうけることができます。令和2年5月1日以降受付が開始されています。
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

虎ノ門法律経済事務所の弁護士コラムのページへようこそ。
弁護士相談・法律相談を専門とする虎ノ門法律経済事務所では、企業法務の解決事例も豊富であり、お客様それぞれのお悩み・トラブル内容に沿った弁護士をご紹介することで、トラブル解決の最後までスムーズに進めることを目指しております。
企業法務一般の弁護士・法律相談の対応だけではなく、他の様々な相談内容にも対応しておりますので、ぜひお気軽にご連絡・ご相談ください。