2023.11.01

楽器を預ける時に気をつけるべき法的ポイント

弁護士 亀井 瑞邑
 

1. はじめに

楽器は、演奏者をはじめとするその所有者にとって、とても大切な財産です。そして、例えば、楽器の修理(メンテナンス)や保管・委託販売等のために第三者(楽器屋等)に楽器を預けることもありますが、それに伴い、様々な問題が生じる可能性があります。
本コラムでは、特に楽器の修理に際して、楽器を預ける側、預けられる側の双方が知っておくべき法的注意点を弁護士の視点から解説し、あなたの大切な楽器を守るためにすべきことを検討します。

2. 契約の明確化

楽器を預けることはある種の預託契約となりますので、明確な内容での預託契約を双方で締結することが穏当です。契約の内容には、預ける楽器の状態、修理の範囲と費用、預託期間、返却方法などが考えられます。預かり証の交付も考えられます。
職人(マイスター)に修理を依頼するにあたり、口約束の場合も多いかと思います。この場合であっても、口頭で上記のことを事前に確認をしておくことは、今後の無用なトラブルを防止する意味からも望ましいといえます。可能であれば、書面による契約の締結をお勧めします。

3. 楽器の状態の確認

楽器を預ける側は、楽器を預ける前にその状態を詳細に記録(写真撮影等)しておくことが重要です。これは、返却時に楽器の状態が変わっていた場合や、楽器の取り違え(特に、弦楽器の弓は、見分けがつきにくいのではないでしょうか。)といったトラブルを防ぐためです。
楽器を預かる側もまた、同様に楽器の状態を確認し、その記録を保管しておくことが重要です。これにより、預けられた楽器が元々損傷していた場合でも、その証拠を示すことができます。

4. まとめ

以上のような法的注意点を押さえておくことで、楽器を預ける際のトラブルを未然に防ぐことができます。
確かに、預ける相手は専門家ですが、とはいえ、自分の大切な楽器を、一時的にとはいえ、預けてしまうことは、大変緊張する出来事です。
そのためにも、法的な着眼点を用いた上で、修理の預入れを行うことにより、予期せぬトラブルを避けることが出来るといえるでしょう。
また、預けられる側も、同様の注意点を押さえておくことで、顧客からの信頼を得ることができます。

当事務所では、演奏家の方々からのこのようなご相談もお受けしています。また修理や販売委託といった楽器の問題だけではなく、その他の演奏家の皆さん自身の労働問題等ついても対応しています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
 
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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