2022.02.18

自筆証書遺言の方式の緩和と保管制度

遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言がありますが、家庭裁判所における遺言書(自筆証書遺言および秘密証書遺言)の検認件数は増加しており、自筆証書遺言そのものが増加傾向にあります。
改正相続法にて自筆証書遺言の方式が緩和され、同時に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年法律第73号)により、法務局における自筆証書遺言書の保管制度が創設されました。
 

1. 自筆証書遺言に関する見直し

自筆証書遺言をする場合は、遺言者が、遺言書の全文、日付および氏名を自書して、これに印を押さなければならないとされていましたが、改正相続法では、全文の自書という自筆証書遺言の方式が一部緩和され、自筆証書に添付する財産目録については自書でなくてもよいとされました。具体的には、財産目録について形式等特段の定めがなく、パソコン等で作成したり、遺言者以外の者が代書した目録を添付したり、通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を目録として添付することもできるようになりました。ただし、この場合でも財産目録の各ページには署名押印することが必要(民法第968条第2項)とされています。また本改正は、自筆証書に財産目録を「添付」する場合に関するもののため、自書によらない財産目録は、本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり、本文と同一の用紙に自筆によらない記載をすることはできませんので注意が必要です。

2. 法務局における自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言に関わる遺言書は、自宅で保管されることが多く、紛失する恐れがあるほか、破棄、隠匿、改ざんが行われる恐れがあることから、公的機関(法務局)で遺言書を保管する制度ができました。
保管の対象となるのは自筆証書遺言書(民法第968条)のみで、法務省令で定める様式に従って作成されなければならず、かつ封のされていないものとされています。遺言書の保管申請は、遺言者の住所地もしくは本籍地または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言保管所に行いますが、遺言者自らが遺言保管所に出頭して行う必要があります。
本制度を利用することのメリットは、保管所に保管されいる遺言書は、偽造、変造等の恐れがなく、保存も確実に行われることと、自筆証書遺言書に必要な検認が不要となります。つまり相続による所有権移転登記を行う際、自筆証書遺言書の場合、検認が必要でしたが、本制度を利用した場合は、検認ではなく、「遺言書情報証明書」を使用して手続きを行うことになります。「遺言書情報証明書」は法務局に交付申請します。

3. 最後に

自筆証書遺言書については、全文自書する手間がかかる、内容の解釈について問題となることがある、死後発見されないことがある、相続人の検認手続きがある、などの問題もありましたが、今回の改正で、目録については自書しなくてもよく、法務局の保管制度を利用することで、偽造、変造等の恐れがなく、保存も確実になり、相続人の検認手続きが不要となりました。
ただ、「内容の解釈について問題となる」ことは、依然として変わらず、さまざまな問題が生じることもございます。遺言書については弊所のコラムでも記事がありますので、参考にしてください。
 
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

虎ノ門法律経済事務所の弁護士コラムのページへようこそ。
弁護士相談・法律相談を専門とする虎ノ門法律経済事務所では、遺産相続の解決事例も豊富であり、お客様それぞれのお悩み・トラブル内容に沿った弁護士をご紹介することで、トラブル解決の最後までスムーズに進めることを目指しております。
遺産相続だけではなく、他の様々な相談内容にも対応しておりますので、ぜひお気軽にご連絡・ご相談ください。

ご予約はお電話でもメールでもお受けしております。