2020.05.11

新型コロナウイルス感染症に関連した不動産トラブルQ&A(賃借人)

弁護士 今井 良輔
 

Q.1 新型コロナウイルスによる政府の自粛要請で店舗を休業していますが、店舗の家賃を減額してもらえないのでしょうか?

A. 実際に営業できる度合にもよりますが、減額交渉の余地はあると思います。
まずは賃貸借契約書に今回のような災害の場合に減額できるような規定がないか確認しましょう。そのような規定がない場合には少なくとも一般的な協議条項に基づいて交渉をすることになります。
では、家賃減額交渉にあたって法律上根拠となるものはないのでしょうか。
今回の災害のように契約当事者のどちらにも落ち度がない場合には危険負担と呼ばれるルールの適用を検討すべきだと思われます。具体的には賃借物の一部滅失等による賃料減額等を定めた民法第611条第1項や危険負担(債務者主義)を定めた民法第536条第1項の規定を用いて、店舗が使用できなかった度合に応じて家賃の減額交渉はあり得るといえます(令和2年4月1日以前の賃貸借契約には旧民法が適用されますが、基本的な考え方は同じですので、同様に法的根拠になり得るといえます)。
なお、家賃減額の法的根拠として代表的なものには借地借家法32条(建物賃貸借の場合)がありますが、同条は長期的にわたる賃貸関係における当事者間の衡平を調整するものであり、自粛要請から未だ日が浅い現時点においては直接的な適用は困難と思われます。

Q2 家主さんと交渉する際にどのような事柄に留意すべきでしょうか?

A. 国が家賃の猶予・減額について様々な政策等を施行・準備していますので、その点も踏まえて交渉に取り組みましょう。
① 国土交通省から各不動産関連団体に対して「新型コロナウイルス感染症の影響により、賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては、その置かれた状況に配慮し、賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討頂きますよう、貴団体加盟の事業者に対する周知をお願いいたします」との依頼文(令和2年3月31日「新型コロナウイルス感染症に係る対応について(依頼)/国土動第149号)
② 家主さんの不動産ローン等に関する金融機関の条件変更
(参考)
 『新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りやローンの返済等でお困りの皆様へ』
 https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/06.pdf
 『新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例』
 https://www.fsa.go.jp/news/r1/ginkou/20200327/01.pdf
③ 家主さんが家賃を免除した場合の損失の税務上の損金算入
④ 家主さんの国税・地方税・社会保険料の猶予措置
⑤ 家主さんの固定資産税等の減免措置
⑥ セーフティネット保証5号の対象業種に「貸事務所業」等の追加
 ※セーフティネット保証:取引先企業の倒産、取引金融機関の破たんや合理化、不況業種に属し売上高が減少しているなど、経営の安定に支障が生じている中小企業者について、信用保証協会の保証限度枠の一般枠に加えて別枠を利用できるようにする制度
⑦ 国による家賃支援政策

Q3 どうしても家賃が支払えません。どうすればよいですか? ※主に個人の方

A. 状況によりますが、国が給付金等を用意していますので積極的に利用を検討してください。
まず、解雇等で失業した場合には「雇用保険」の利用を検討しましょう。
また、失業していない場合でも「住居確保給付金」の対象拡大措置により給付金が一定額受け取れます。
さらに「生活福祉資金貸付制度」により緊急小口資金や総合支援資金などの貸し付けも受けることができます。
その他、生活保護などの制度も含めて検討してみてください。
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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