2021.09.08

3つの制度を使って万全の老後対策を!

弁護士 堀尾 拓未

本コラムでは、(a)公正証書遺言、(b)任意後見契約、(c)家族信託という3つの制度を活用して、万全な老後対策をするための方法をお伝えします。

1. なぜ3つの制度を活用する必要があるのか?

老後対策と聞くとどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。老後資金問題、介護問題、または跡取り問題など人によって様々なものが思い浮かぶと思います。
今回本コラムで紹介するのは老後対策の中でも、(1)自身(ないし両親)が死亡した後に備えた対策、(2)自身(ないし両親)の認知能力が低下したときのための対策をご紹介いたします。
従来(1)の場合には(a)公正証書遺言が、(2)の場合には(b)任意後見契約が対応していましたが、近年新たに(c)家族信託制度が登場したことで、より個人のご希望を反映した柔軟な対策が(1)(2)の場面において可能となりました。
そのため、ライフスタイルの多様化する現代においては3つの制度を上手に活用して万全の老後対策を組むことが、幸せな家族生活を末永く維持する鍵となってくるでしょう。

2. 3つの制度の特徴とは?

(a)公正証書遺言は、故人の生前の意思を確実に実現するため、そして何より遺産分割を巡るないし両親族間の紛争を可能な限り防止するために公証人という専門家と協力して、実効性の高い遺言を残すことに意義があります。
 
(b)任意後見契約は、自身(ないし両親)の認知能力が低下した場合に備えて、あらかじめその財産を誰がどのように管理するかを定めることを主とする契約です。例えば、認知能力が低下したときに任意後見契約を締結していないと、その人が所有している不動産等の財産を実質上自由に売却・活用等出来なくなってしまうことがあります。また、認知能力が低下した人が財産を自由にできるままにしておくと詐欺などで財産を失ってしまう可能性があります。任意後見契約は、このような事態を防止し、財産管理という観点から認知能力が低下した人を守ることに意義があります。
 
もっとも、(a)公正証書遺言及び(b)任意後見契約だけでは実現できないニーズも従来から存在しました。例えば、自身の遺産を次の代の誰に相続させるかのみではなく、次の次の代の誰に相続させるかまでは公正証書遺言では決められません。また、認知能力はまだ完全には低下していないが、少しずつ物忘れ等が出るようになったので早めに家族に財産管理を任せたいという場合に任意後見契約は対応できません。
そこで、そのニーズの隙間を埋めるため新設された制度が(c)家族信託となります。家族信託の詳しい制度概要の説明は紙面の都合上割愛いたしますが、事前に家族間で信託契約を交わすことで、(a)(b)の制度以上に柔軟な対応ができ、様々なニーズを満たせるのと現在期待されている制度です。

3. 3つの制度を活用するにはどうすればいいか?

3つの制度の活用と言っても、すべての人が必ずしも3つすべてを活用することが望ましいわけではありません。ご本人及びそのご家族がどのようなことを望むかによって、上記制度を1つ使えば十分な場合、まったく使わなくてもよい場合もございます。
もっとも、どのような制度を使えばご本人及びご家族の要望を十分満たせるかというのはなかなか個人の判断では難しいところですので、法律の専門家と協力し法的に穴のない体制、将来的に親族間の紛争の火種となりにくい体制を敷くことが望ましいです。
 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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