2022.07.31

相続・遺産分割ってどういうことを話し合うのか?

弁護士 三浦 裕和
 
そもそも、相続・遺産分割の際に何を話し合う必要があるのか?という疑問があるのではないでしょうか。
本コラムでは、相続に詳しい弁護士が、相続・遺産分割の際に話合う必要があること・考慮できる事情について、説明いたします。
 

1. 相続人の範囲

まずは、「相続人が誰であるか」の確認が必要です。
そのためには、亡くなった方の「生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍」を取得する必要があります。
  
「誰が相続人かなんて調べるまでもない!」と思われる方も多いと思いますが、弁護士に相談にくる人のなかには、「知らないうちに養子縁組がなされていた」「隠し子がいた」ということが、戸籍を取得して、初めて発覚するということがたまにあります。
知らない相続人がいることが後で判明した場合、せっかく話し合った内容が後でひっくり返されてしまうということもありますので、早めに確認する必要があります。
 
相続人の範囲については、こちらの記事「相続順位とは?法定相続人の範囲や相続割合について解説」をご参考にしてください。

2. 遺言書の有無

遺言書があるかないかによって、相続手続きは大きくかわります。
遺言書がある場合、基本的には遺言書の内容に沿って相続手続きを行います。
一方で、遺言書がない場合は、相続人の間で遺産分割を行う必要があります。
 
なお、遺言書がある場合でも、相続人のなかで、遺言書の有効性を争う相続人がいる場合は、先に遺言書が有効か否かをはっきりさせる必要があります。
遺言書の有効性を話し合いで解決できない場合は、遺産分割調停ではなく、「遺言無効確認の訴え」という訴訟手続きの中で有効性をはっきりさせる必要があります。
 
また、遺言書に沿って、相続手続きを行う場合でも、一部の相続人が他の相続人の遺留分を侵害している場合は「遺留分侵害額請求権」という権利を行使できる場合があります。
 
遺留分侵害額請求権については、こちらの記事「相続における遺留分とは~受け取れる人や割合、計算方法を紹介~」をご参考にしてください。

3. 遺産(相続財産)の調査

遺産分割の話し合いをする際、遺産の範囲を明確にする必要があります。
亡くなった方の現金、預貯金、不動産、動産、株式などが遺産分割の対象になります。
 
亡くなった方と同居していない場合や遠くの親戚である場合には、相続財産の範囲が分からないことがあります。
この場合は、調査をする必要があります。
預貯金については銀行・ゆうちょに問い合わせて、不動産については名寄帳を取り寄せることで、調査できます。

4. 遺産の評価

相続財産のうち、現金や預貯金は、その金額が評価額となるため問題になることは少ないです。
一方で、不動産や株式(特に非上場株式)については、時期や価格の計算方法によって、その評価額が変わってしまうため、争いの種になることが少なくありません。
 
不動産や株式の評価は、相続発生時点の時価(売却した場合の評価額)とされています。
上場会社の株式の評価額は簡単に調べることができますが、不動産や非上場の株式は、計算方法によってその評価額が大きく変わるため、注意が必要です。

5. 特別受益・寄与分

相続人のうちの一人が、亡くなった人から、マイホームの建築費用を援助を受けていた場合、相続人間で同じ金額を分けることが公平といえるでしょうか。
一方で、相続人のうちの一人が、亡くなった人に対して、財産的な援助をしていた場合、相続人間で同じ金額を分けることが公平といえるでしょうか。
 
上記のように、相続人の間で、同じ相続分を分けることが不公平といえる場合には、民法上、「特別受益」「寄与分」といった制度により、分配する財産を調整する制度があります。

6. 遺産の分割方法

上記1、3~5の内容を踏まえて、誰が何をいくら取得する、ということを話し合う必要があります。
分割する財産が、預貯金や現金だけであれば、そこまで分割方法で意見が分かれることはありません。
しかし、不動産がある場合には、誰がその不動産を取得するのか、不動産をいくらと評価するのか、などが問題になることが多くあります。

7. まとめ

本コラムでは、相続・遺産分割の際に話合う内容を簡潔にまとめました。
 
相続人の間で異なる意見・考え方を持つ人がいる場合や相続財産に不動産や株式がある場合には、相続人間の直接の話し合いでの解決が困難な場合も多いです。
また、親族同士であるがゆえに、相続とは直接関係のない過去のちょっとしたいざこざなどの心情的な問題で、話し合いがすすまないということも珍しい話ではありません。
 
「相続人同士で話し合いが難しい」「財産がよく分からない」「評価について争いがある」など、少しでも相続について問題が発生しそうと思いましたら、まずは相続に詳しい弁護士に御相談ください。

 
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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