52年の実績と信頼でトータルサポートいたします。
相続税とは?
相続税とは、被相続人(亡くなった人)の財産を相続人である妻や子供が引き継ぐときに課される税金のことです。
相続税が実際に課税されるのは「正味の相続財産」であり、預貯金や土地・建物の不動産、生命保険、株式など、被相続人が亡くなった時に所有していたお金に換算できる財産すべてが対象となります。
相続税を計算するには、まず相続した財産にはどんなものがあり、それらはいくらに評価されるのかを知ることが必要です。次に、実際にどのくらいの相続税がかかるのかを計算することになります。
相続税はいくらからかかる?相続税の算出方法
相続税の算出は、課税価格(正味の相続財産)の計算、相続税総額の計算、各人の相続税額の計算、納付税額の計算という4つの段階からなります。
相続税の算出は、課税価格を算出することから始まります。この計算は、相続や遺贈によって財産を取得した人ごとに行います。課税価格(正味の相続財産)は、
[相続(遺贈)財産]+[みなし相続財産]+[相続開始前3年以内の贈与財産]+[相続時精算課税による贈与財産]-[非課税財産]-[負債(債務)及び葬式費用]
の計算式で求められ、これを算出したものが相続税のかかる課税価格となります。
なお、みなし相続財産とは、亡くなったことで相続人のものとなった財産のことを指し、保険金や死亡退職金、弔慰金などがこれに当たります。また、相続開始前3年以内の贈与財産の加算とは、相続や遺贈によって財産を取得した人が、その相続前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けていたときに、その贈与の価格をその人の相続税の課税価格に加えることを指します。
次に相続税の総額を計算します。遺産にかかる基礎控除額とは、いわゆる課税最低限のことで、課税価格の合計額(遺産総額)のうち、これを超える部分について相続税が課税されます。
したがって、課税価格の合計額を求め、これが基礎控除以下であれば、相続税は一切かかりませんし、相続税の申告も必要なくなります。
なお、遺産にかかる基礎控除額については下記のとおりです。
適用時期 | 基礎控除額 |
---|---|
平成26年12月31日まで | 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数 |
平成27年1月1日以降 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
相続税の税率と計算例
相続税速算表(平成26年12月31日までの場合) | ||
---|---|---|
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超 | 50% | 4,700万円 |
相続税速算表(平成27年1月1日以後の場合) | ||
---|---|---|
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
例えば、相続人が3人(配偶者1人・子供2人)で正味の遺産額が1億3,000万円の場合を計算してみます。
正味の遺産額:1億3,000万円
基礎控除額:3,000万円 + 600万円×3(法定相続人の数)= 4,800万円
課税価格1億3,000万円 – 4,800万 = 8,200万円
【法定相続分の課税価格】
配偶者:8,200万円×2分の1 = 4,100万円
子供A:8,200万円×4分の1 = 2,050万円
子供B:8,200万円×4分の1 = 2,050万円
【各法定相続人の課税額】
配偶者:4,100万円×20% – 200万円 = 620万円
子供A:2,050万円×15% – 50万円 = 257万5,000円
子供B:2,050万円×15% – 50万円 = 257万5,000円
【法定相続分で分ける場合】
620万円 + 257万5,000円 + 257万5,000円 = 1,135万円
配偶者:1,135万円×2分の1 = 567万5,000円
子供A:1,135万円×4分の1 = 283万7,500円
子供B:1,135万円×4分の1 = 283万7,500円
この時、配偶者控除制度により、配偶者の取得した遺産額が1億6,000万円に満たない場合には、1億6,000万円まで相続税が免除されます。したがって、最終的に相続税は下記のとおりとなります。
配偶者:0円
子供A:283万7,500円
子供B:283万7,500円
税額控除制度
相続税には税金を減額するための税額控除という制度が多くあり、上手に利用することで相続税を大幅に減らすことが可能です。相続税をできるだけ抑える税額控除制度には、下記のようなものがあります。
- ・配偶者が取得した遺産額のうち、1億6,000万円分又は法定相続分を控除する「配偶者控除」
- ・相続開始前3年以内の財産の贈与時に支払った贈与税を相続税から控除する「贈与税額控除」
- ・法定相続人に未成年がいる場合に、その未成年が20歳に達するまで1年毎10万円を控除する「未成年者控除」
- ・法定相続人に障がいを持った方がいる場合に、その障がいを持った方が85歳に達するまで1年毎10万円(特別障がい者の方は20万円)を控除する「障がい者控除」
- ・前回の相続から10年以内に立て続けに相続が続いた場合に、2回目以降の相続が、前回から今回の相続の経過1年につき10%の金額を相続から控除する「相次相続控除」
- ・外国で相続税を納めた場合に、その分を日本国内の相続税から控除する「外国税額控除」
- ・生前贈与をする際に2,500万円まで贈与税を非課税にする「相続時精算課税制度」※後述
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、生前贈与をする際に2,500万円までの贈与税を非課税にしますが、贈与した人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく、過去に生前贈与した2,500万円までの財産も遺産総額に組み込まれることになります。
その遺産総額が相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税が課税されてしまうのです。相続時精算課税制度は、文字通り「相続時に、非課税にした分を精算して課税する制度」ですので、節税というわけではなく、言わば税金の支払いを先送りにする制度と理解することができます。
しかし、相続時精算課税制度は利用の仕方によっては非常に有用な制度でもあります。以下にメリットとデメリットをまとめました。
【メリット】
- ・相続時、遺産総額が相続税の基礎控除枠を超えないことが想定できること
- ・早期に多額の財産を贈与することが可能であること
- ・今後、値上がりする可能性が高い財産を2,500万円まで一気に贈与することが可能であること
- ・建物(住宅)など、将来的に価値が低くなる財産を生前贈与することにより、相続税対策になること
- ・将来相続人になるであろう方に、相続させたい財産を生前贈与しておくことにより、贈与した財産の取り合いで相続人間の争いを防ぐことができること
【デメリット】
- ・贈与税が無税でも、相続時に相続税が発生する可能性があること
- ・贈与税には毎年110万円までの非課税枠が設けられていますが、相続時精算課税制度の利用を一度選択すると、撤回ができなくなること(毎年110万円までの贈与税非課税枠が利用できなくなること)
- ・相続時精算課税制度を選択すると、贈与額の大小に関わらず贈与税の申告が必須になるため、手間が増えること
- ・相続税法に関する改正があった場合には、不利になる可能性があること
- ・相続税は物納が可能ですが、相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた財産は物納が認められていないこと
- ・土地を贈与した場合には、「小規模宅地等の特例」が適用できなくなること
- ・贈与で不動産を取得した場合には、相続時に不動産を取得した場合に比して、登録免許税が高くなること(0.4%→2.0%)。さらに、不動産取得税も発生すること
相続対策と当法律事務所の特長
相続対策は、上述した税額控除制度を駆使するだけでなく、
- ・時価ではなく、相続開始時の固定資産台帳や路線価などから算出された評価額に対して課税される「不動産」で相続を行う
- ・法定相続人1人当たり500万円の非課税枠が設定されている「生命保険」を活用する
- ・年間110万円の基礎控除が設定されている贈与税の「生前贈与」を活用する
など、相続税をできるだけ抑える様々な方法もあります。
相続対策は早め早めにしておくことが肝心です。早ければ早いほど、相続対策を立てやすくなり、皆様にとってより幸せな「相続」をすることができるようになります。
しかし、自分だけで相続対策や相続税の申告をしてしまうと、そもそも複雑で理解が及ばず、余計に税金を支払ってしまうことになりかねません。
当法律事務所は、遺産相続や不動産にかかる問題・手続を、設立当初より最も強みとしております。
当法律事務所には弁護士のみならず、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士も在籍しており、また、当法律事務所を母体とするTLEOグループには不動産会社があるため、ワンストップでまとまったサービスを提供することが可能です。
当法律事務所はワンストップサービスができる法律事務所として、相続税の申告を、遺産整理手続き・遺言執行・不動産相続登記とトータルで受任する場合には、相続税申告報酬を安く設定しております。手続きも、相続税の申告を別途委任する場合に比べ、円滑・迅速に進みます。
遺産相続についてお悩みでしたら、まずは当法律事務所にご相談ください。
相続税の税率・計算・控除に関する法律相談
遺産相続のコラム
2024.04.22 | 遺産の相続割合の決め方とは?法定相続割合から注意が必要なケースまで紹介 |
2024.04.22 | 相続における不動産の評価 |
2024.04.10 | 遺産相続の手続の期限とは?過ぎた場合の対応方法や注意点まで弁護士が解説 |
2023.12.18 | 兄弟姉妹が相続人になるケースとは?その場合に起こるトラブル事例と対応策をご紹介 |
2023.11.10 | 遺留分請求の実態 |
2023.08.18 | 遺産の無償使用と特別受益~遺産でもめないために~親の土地や建物を無償で使用していた場合、相続分は減るのか? |
2022.07.31 | 相続・遺産分割ってどういうことを話し合うのか? |
2023.06.05 | 近い将来、あなたの相続分が制限されるかもしれません!~相続法改正による具体的相続分の遺産分割時限の新設~ |
2023.04.26 | 遺留分とは?遺留分を請求できる相続人の範囲・割合・計算方法を解説 |
2023.04.14 | 相続順位とは?法定相続人の範囲や相続割合について解説 |
2023.04.05 | 株式を相続する流れとは?相続の方法から相続税まで解説 |
2023.02.10 | 相続登記の義務化はいつから?ポイントと注意すべき点について |
2022.09.26 | 遺産分割協議の注意点とは |
2022.08.29 | 相続について相談すべきタイミングとは? |
2022.08.15 | 相続財産の範囲について |
2022.07.20 | 危急時遺言 |
2022.06.27 | もしかして遺産を隠されてる? ~遺産調査の方法とは~ |
2022.06.06 | 相続が発生したとき留意すべき4つの時点 |
2022.02.18 | 自筆証書遺言の方式の緩和と保管制度 |
2022.01.28 | 「家族信託」を利用してみませんか? |
2021.10.22 | 婚外子による父親の相続 その1(婚外子の相続資格) |
2021.10.11 | 預貯金仮払い制度の利用について |
2021.09.24 | 数次相続があった場合の相続税 |
2021.09.08 | 3つの制度を使って万全の老後対策を! |
2021.08.11 | 遺言書作成のお悩み |
2021.07.28 | 遺産分割をしたいのに連絡がとれない相続人がいる |
2021.05.10 | 相続放棄しつつ、家を残す |
2021.04.23 | 自筆証書遺言とは何ですか? 作成するに当たって、どのような問題点がありますか? |
遺産相続に関する弁護士・法律相談
虎ノ門法律経済事務所の相続税の税率・計算・控除の方法のページへようこそ。
弁護士相談・法律相談を専門とする虎ノ門法律経済事務所では、相続税の税率・計算・控除の事例も豊富であり、お客様それぞれのお悩み・トラブル内容に沿った弁護士をご紹介することで、トラブル解決の最後までスムーズに進めることを目指しております。
相続税の税率・計算・控除の方法だけではなく、他の様々な相談内容にも対応しておりますので、ぜひお気軽にご連絡・ご相談ください。